旧暦最初の月
はじめに

輝面率0.72%の月

輝面率0.72%の月 (強調版, 月中心=写真中央, 円弧04時半-06時半)
撮影情報 (1 件) ▼
西暦2026年02月18日 (旧暦01月02日, 宣明暦01月01日) は, 新月直後24時間未満の月を撮影できる機会となりました. 上記の写真は鎌倉の由比ガ浜 (+35.305362, +139.550291) 付近で撮影したものです.
撮影機材は Canon PowerShot SX70 HS, 三脚 Velbon EX-440 (脚は延ばさず), ポータブル赤道儀 Kenko SKYMEMO S のみでした. ただし, 赤道儀は使いませんでした.
上記写真の月の輝面率は0.72%でした. これまでの輝面率最低記録だった西暦2025年01月30日 (旧暦01月02日, 宣明暦01月01日, 東京科学大学で撮影) の0.84%を0.12ポイント下回り, 21年間の人生での最低記録を更新しました. 月齢に限れば, 西暦2025年01月30日17時34分39秒の月齢+00d19h58m41sが最低記録です.
気象条件
新月前後24時間未満の月の撮影は2025年07月23日夜半過ぎ (24日未明) 以来7朔望月ぶりです. 秋の細い月は気象条件に恵まれず, 暫く細い月はお預けとなっていました.
東京では, 以前の雨予報が大幅修正されて快晴の予報となりましたが, 昼過ぎまで雲が多く, 15時過ぎにようやく西の空以外は雲がない状況となりました. しかも富士山が見えないほど空が霞んでおり, 14時過ぎには他の山も全く見えなくなってしまいました. しかも気象衛星画像を見ると, 予報にない雲が東京に近づいていたため, 慣れた大学キャンパスではなく, 急遽鎌倉の由比ガ浜に向かいました.
現地は幸運にも快晴でした. 山の奥の夕焼けには花粉光環も見られて心配でしたが, 伊豆半島, 大島, ビーナスベルトは完璧でなくてもはっきり確認できました. 肝心の西の空は, 雲とカウントされにくい程度の薄雲が平行に並んでいました.
単に日が沈んで大気中の散乱が抑えられただけの可能性もありますが, 花粉の飛散状況については東京よりも由比ガ浜が有利だった可能性があります. 南風が吹くと, 花粉の影響が少ない海からの風がもたらされます. 仮に南にある大島から花粉が運ばれても, 湿度によって花粉が浮遊せずに海に降りやすくなります. そのため, 由比ガ浜の南風に含まれる花粉は限定的であると考えられます. 一方で東京は乾燥した西風によって関東山地の花粉が運ばれやすく, 低湿度な環境で花粉が滞留しやすくなります.
実際に, 由比ガ浜に最も近い辻堂観測点では, 当日に2回の凪が訪れていました. 1回目が10時30分から10時40分までの間で, 北風から南風に切り替わりました. 2回目が観測時間帯直前の17時30分から17時40分までの間で, 南風から北風に切り替わりました. つまり, 観測直前まで南風の恩恵を受けていた可能性が十分に考えられます. なお, 観測時間帯を含む17時30分から18時30分までの間の最大瞬間風速は1.8m/sと, 非常に安定した環境でした.
事前に作成した, 大学キャンパスでの風景図と月を重ね合わせた図は, 全く使い物にならなくなってしまいました. その点は残念です.
アンカーに救われた観測

輝面率0.73%の月

輝面率0.73%の月 (強調版, 月中心=写真中央やや右, 円弧04時-07時)
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輝面率0.73%の月と金星の共演 (金星=写真左, 月=写真右)

輝面率0.73%の月と金星の共演 (強調版, 金星=写真左, 月=写真右)
撮影情報 (1 件) ▼
西暦2025年01月30日も西暦2026年02月18日も, 細い月を見失わないためのアンカーとなる天体がありました. 前者は太陽, 後者は金星でした.
太陽の明るさは細い月の撮影において最大の難所ではありますが, 目印としては使える場合があります. 西暦2025年01月30日夕方の月の赤緯は太陽とほぼ同じでしたので, 特定の時刻の夕日の位置は, その約44分後の月の位置になりました.
金星が隣にいる場合は極めて幸運です. 全天で最も明るい天体 (太陽と月を除く) で薄明の時間に見られますから, 晴れた空に出ていればほぼ確実に見ることができます. 西暦2026年02月18日は月と金星がほぼ同じ高度で並び, 離角は2度未満でした. 従って, 金星を頼りにピントを合わせ, 月も探すことができました. 金星 (きんせい) だけに金星 (きんぼし) を挙げることができました.
西暦2026年02月18日は17時40分頃に金星を肉眼で確認し, 17時50分頃にはモニターで月も確認できました. なお, その頃には市民薄明終了の約1分前に迫り, 周囲は暗くなっていました. その程度暗くないと, 新月直後の月は写らないというわけです. 勿論, 月を肉眼で見ることはできませんでした.
ギリギリ月の写真?

輝面率0.72%未満の月と疑われる画像

輝面率0.72%未満の月と疑われる画像 (強調版, 月疑い中心=写真中央右上, 円弧疑い05時-06時)
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金星が見えた直後である17時40分44秒にも, 月のあると予想された場所で撮影を行いました. その画像を解析した結果, 05時方向から06時方向までのごく狭い範囲に円弧と疑われる像が確認されました.
これが本当に月がどうかを検証する方法が限られるため, 月の写真としては認めませんでした. それでも, 複数の視点により, 月である蓋然性は高いと考えられます.
本記事内では細い月の円弧を角度に対応した時刻 (ここでは04時半-06時半, 04時-07時) で表しています. 円弧で最も明るい部分は円弧の中央部ですが, いずれも05時半方向となっています. 問題の画像 (05時-06時) についても中央が5時半方向となっています.
さらに, 月として不自然でない曲率も持っており, 倍率が同じ他の画像とも矛盾しません.
もしこれが本当に月であれば, 月が写る範囲が短時間で急激に変化したことになります. 言い換えれば, 本機 (Canon PowerShot SX70 HS) が捉えられる限界ギリギリだったことが考えられます.
勿論, 信号と雑音の比は各カメラで異なりますから, 特定の天文・気象条件で細い月を観測できるかどうかを一般的に論じることはできません.
それでも, 薄明が細い月の観測に多大な影響を与えることを再認識しました. 西暦2025年11月21日夕方や西暦2026年01月17日夜 (18日未明) に月の撮影に成功しなかった原因についても, 薄明の影響を過小評価したためと突き止められました.
おわりに

輝面率0.74%の月

輝面率0.74%の月 (強調版, 月中心=写真上やや右, 円弧04時-07時)
撮影情報 (1 件) ▼
低空の雲を抜けても, 霞に飲まれることなく, 伊豆半島に沈むまで月の撮影を続けることができました.
2025年までは大学での月の撮影がメインでしたが, 今後は学外観測の割合が増えていくでしょう.
(カメラ内部時計 - 日本標準時 = +13s)
参考文献 (原語版)▼
- 気象庁|過去の気象データ検索気象庁公開・更新日: 2026-02-18アクセス日: 2026-02-21
- 日本暦日原典 第五版内田 正男公開・更新日: 2023-11-25アクセス日: 2026-05-04



